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化学

混合物の分離法とワンポイントまとめ

投稿日:2019年2月4日 更新日:

前の記事で純物質と混合物について扱い、混合物がいくつかの純物質からできていると書きました。

化学の第一歩!純物質/混合物の違いと同素体の定義まで

今回は、混合物から純物質に分離させる方法について書きたいと思います。

この範囲も、抑えるべきポイントは決まっていますので、必ず一度確認してみるといいでしょう。

混合物の分離法

蒸留

定義

蒸留

混合物中に含まれる純物質の沸点の差を利用した手法

蒸留が使われる例

  • 食塩水から水と食塩に分ける

一番初めに紹介する【蒸留】ですが、これが一番頻出&分かりにくいです。

一般的には次に示すような装置で、成分同士の沸点が異なるものを分離します。

蒸留装置

原理としては、左側の枝付きフラスコ内に入っている混合物を加熱することで、沸点の一番低い物質が蒸発し、その蒸発成分のみがリービッヒ冷却器という器具で冷やされることで再度液体に戻り、右側のフラスコ内にたまっていくというものです。

この装置に関するポイントは次の通りです。

蒸留装置のポイント

  • 枝付きフラスコ内に入れる混合物量は容量の1/3~1/2
  • 混合物中には沸騰石を入れる
  • 温度計の下端は枝の高さと同じ位置にする
  • リービッヒ冷却管に流す水は下から上へ
  • アダプターと三角フラスコの間をゴム栓などで密栓しない

1つ目ですが、枝付きフラスコに限らずフラスコに入れる溶液量は最大容量の1/2程度までというのが普通です。

主な理由は、入れすぎると加熱にかなり多くの時間がかかってしまうためです。

(それと、枝付きフラスコを間違って技付きフラスコと書いてしまう人も多いので気を付けて!)

 

2つ目についてですが、蒸留では混合物中に沸騰石という多孔性の粒を加えることで、急激な沸騰(突沸)を防ぎます

どうして沸騰石を加えると突沸を防止できるかは高校化学で出題されることはまずありませんが、別の記事でコラムとして書きたいと思います。

 

3つ目の理由は分離される純物質における蒸気の温度を知るためです(蒸気温度が100℃なら水、78℃ならエタノールだろうと想定できますよね)。

この場合、上記の温度と混合物の温度は通常一緒にならないので、蒸気が流れ込む枝分かれの位置に温度計を置くのです。

 

4つ目が最もよく出る問題です。リービッヒ冷却器では、蒸気が通っていく管の外側を水が流れることで蒸気を冷却しますが、水を流す向きは必ず下から上です。

その理由は温まってしまった水をより効率よく排出し、冷却効果を促進するためというのが答えです。

ただし、実はこの答え、高校レベルでは正しいのですが、本当はもっと深い理由があります。

これについても別記事で紹介しますが、今は上記の模範解答を頭に入れておく程度でいいでしょう。

 

5つ目の理由は簡単です。混合物を加熱して蒸気を出し続けているのに、装置内を密閉してしまうと器具の中の圧力がみるみる上昇していきます。

最終的にはガラスが割れ、飛び散ることになり非常に危険です。

すなわち、密栓しない理由は装置内圧が上がり、器具が破損するのを防ぐためです。

分留

分留とは、分別蒸留の略称で、蒸留操作を何回も行って精製していく方法のことです。

分留が使われる例

  • 石油からナフサや灯油を取り出す
  • 液体空気から酸素を取り出す
  • 高い純度のエタノールを取り出す

例えばエタノール(沸点78℃)と水(沸点100℃)の混合物を蒸留すると78~100℃の間で沸騰し、エタノール分の多いものが出てきます。

さらにこの操作で得られた混合物を再度蒸留すると、さらにエタノール分が多い混合物が得られ、次第に濃縮されていきます。

このような分留によって、エタノールを精製していくことができます。

ただし、分留と書くべきところを蒸留と書いても入試では〇になると思います。実際の操作としては蒸留を行っているわけですから。

ろ過

定義

ろ過

液体と、その液体に溶けていない固体をろ紙で分離する手法

ろ過が使われる例

  • 砂の混ざった食塩水から砂だけを除く

ろ過に関しては中学校でも習うので、皆さんもよく知っていると思います。下のようなやつです。

ろ過実験

コツとしては、ろうとの先端はビーカーの内壁につけて、滴下した液体が飛び散らないようにすることが大切です(危険な溶液では特に)。

また、ガラス棒を使って溶液を伝わせるのも同じ理由で大切です。

再結晶法

定義

再結晶法

固体の液体への溶けやすさ(溶解度)が温度によって異なることをを利用し、純度の低い結晶からより高純度の結晶を得る手法

再結晶が使われる例

  • 不純物として食塩を含んだ硝酸カリウム結晶の精製

例えば上の例だと、食塩の水への溶けやすさは温度にあまり影響せずほぼ一定なのですが、硝酸カリウムという物質は温度が高くなると水への溶けやすさが一気に上がります。

そのため、お湯にこの混合物を入れて冷やしていくと、食塩は溶けたままですが硝酸カリウムだけが水に溶けにくくなり、結晶として析出してきます

抽出法

定義

抽出法

混合物に溶媒を加えて、特定の成分だけを取りだす手法

抽出が使われる例

  • お茶の葉をお湯に入れることでカテキン成分を取り出す

抽出はよく身近でも使う言葉なので分かりやすいと思います。●●から××成分を抽出する、とか言うので大体わかると思います。

昇華法

定義

昇華法

特定の物質が昇華性(固体が直接気体になる性質)を利用して分離する手法

昇華が使われる例

  • ヨウ素と砂の混合物からヨウ素のみを取り出す

昇華とは固体が直接気体になる変化のことで、特定の物質がこの性質を持ちます。

例えば、ビーカーで昇華性があるヨウ素と砂の混合物を穏やかに加熱するとヨウ素のみ昇華します。

さらにビーカーの上側に冷水を入れた丸底フラスコを置いておけば、冷えているフラスコ底面にヨウ素のみが析出し、取り出すことができます。

昇華性のある物質としては、ヨウ素、ナフタレン、ドライアイスがよく出てきます。

ヨウ素の昇華

ビーカー内で昇華したヨウ素(赤紫色)がフラスコ底部に析出する

 

出典:なんとなく実験しています

クロマトグラフィー

定義

クロマトグラフィー

物質の大きさや吸着力の差を利用して物質を分離する手法

クロマトグラフィーが使われる例

  • 水性ペンの色成分を紙を使って分離する(ペーパークロマトグラフィー)

クロマトグラフィーだけは少し異質ですよね。大学以上だとよくクロマトって言います。

よく出てくるのはインク成分などの紙への吸着力の差を利用したペーパークロマトグラフィ―ですが、他にもカラムクロマトグラフィーとかガスクロマトグラフィー(ガスクロ)とかいろいろあります。

ペーパークロマトグラフィーを例にすると、インク中の各成分はそれぞれ、紙への吸着力が違います。

そのため、インクを紙に漬けた後に水へ浸すと毛細管現象で紙が湿っていきますが、紙への吸着力が小さい成分ほど水と一緒に紙の上を登っていくという原理です。

ペーパークロマトグラフィーの原理

 

まとめ

今日のまとめ

  • 各分離法の特徴と使用例を知っておこう
  • 特に蒸留操作は大切!間違い探しが多いのでポイントを抑えること

-化学
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